前4年生がコンプトン散乱の解析をする研究をしていた。
1stオーダーの摂動でM行列を計算するものだったが、あまりの計算量の多さに一部を計算するに止まった。
見ればコンピューター解析でもA4用紙で十数枚の計算結果だ。
とても手計算では手に負えないだろう。
そう、コンピューターがなければ、現代のファインマングラフの研究はできないといっても過言ではない。
手計算で追いつかないのは、能力の限界でもある。
何が言いたかったかというと、つまりは自然の理解には限界があるのではないか?という疑問があること。
もちろん、人間にとってだ。
ファインマンルールは劇的に散乱振幅の計算量を減らした。
それにより、大掛かりな昇降演算子による計算の手間が省けた。これは大きな功績であり、進歩だ。
では、これと同じ状況が今後も続いていくのか?
科学は進歩を続けるか?
果たしてstring理論を実験的に確認できるまで、人類の科学力は進歩できるのか?
大いなる謎だ。
むしろ、自然の構造云々よりも、人間の能力によって科学は支配され、世界は理解されるのではないか?
そう思う今日この頃である。